私たちの行動には、無意識のうちに働く心理が関係しています。なぜ収納を減らすことが効果的なのか、心理学的な根拠から見ていきましょう。
1.パーキンソンの法則:スペースがあれば埋めたくなる人間の心理
旅行に行くとき、大きなスーツケースを持っていけば、ついつい「これも持っていけるかも」「念のためあれも」と、必要以上に荷物を詰めてしまいがちですよね。逆に、小さめのバッグしか持っていかなければ、本当に必要な物だけを厳選するはずです。
これと同じことが、家の収納にも言えます。大きな棚やクローゼットがあれば、「まだ入るスペースがあるから」と安心し、物を増やしてしまいます。収納スペースが広ければ広いほど、私たちは無意識のうちにそのスペースを物で埋めようとしてしまうのです。
だからこそ、あえて収納を減らすことで、「これ以上は入らない」という物理的な制約が生まれ、物を買う前に「本当に必要か?」と考える習慣が身につきます。
2.ナッジ理論:気づかないうちに、片付けやすい習慣が身につく
「ナッジ」とは、「そっと後押しする」という意味の言葉です。ナッジ理論は、人が強制されなくても、ちょっとした工夫やきっかけで、自然と望ましい行動を選ぶようになるという考え方です。
- 収納が多い部屋:どこにでも物が置けるため、床やテーブルに物が散乱しがちです。
- 収納が少ない部屋:物の定位置が限られているため、使い終わった物を元の場所に戻さないと、すぐに邪魔になります。
収納を減らすことは、「散らかっていると不便だ」と感じさせる**”小さなきっかけ(ナッジ)“**となり、自然と「片付ける」という行動を促してくれます。

今日からできる!「減らす収納」の3ステップ
頭では理解しても、実際にどうすればいいか迷いますよね。まずはこの3つのステップで、無理なく「減らす収納」に挑戦してみましょう。
ステップ1:持ち物の「総量」を把握する
まずは、家にある全ての物を「見える化」することから始めましょう。クローゼット、引き出し、押し入れ…隠れている場所も含めて、全ての物を一度出してみると、想像以上の量に驚くはずです。
このとき、「いつか使うかも」「もったいない」という気持ちはいったん置いておき、**「今、本当に使っているか」**という視点で仕分けをします。
- 「いる」:週に一度は使っている物
- 「いらない」:一年以上使っていない、または壊れている物
- 「迷う」:半年以内に使ったか思い出せない物
この仕分けで「いらない」と判断した物は、思い切って手放しましょう。
ステップ2:収納を「見える」ようにする
壁一面の大きな収納や、奥行きの深い押し入れは、奥に物をしまいこんでしまいがちです。物を減らした後は、収納もスリム化してみましょう。
- 大きなラックを処分して、背の低い棚に変える
- 深い引き出しをやめて、浅いケースに変える
- 押し入れの手前だけに物を置く
このように、収納が「見渡せる」状態になると、どこに何があるか一目でわかり、同じ物を重複して買ってしまうことも防げます。
ステップ3:収納スペースを「仮減らし」してみる
いきなり大きな家具を捨てるのは勇気がいるかもしれません。そんなときは、使っていない収納スペースを一時的に「使えない状態」にしてみましょう。
- 使っていない棚に布をかけて「使わない」と決める
- 空の収納ケースをダンボールにまとめて、押し入れの奥にしまう
この状態でしばらく生活してみて、「意外と困らないな」と感じたら、その収納は本当に必要ないのかもしれません。
まとめ
収納を減らすことは、物を減らすだけでなく、日々の暮らしや心の持ち方まで変えてくれます。物が少ないと、掃除がラクになり、探し物をする時間も減ります。そして何より、**「本当に大切な物」**に囲まれて暮らすことができます。まずは小さな引き出し一つから、この「減らす収納」に挑戦してみませんか?
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